元物理学・宇宙物理学専攻(物理学第一分野)所属・名誉教授 川上 則雄

 
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 五月の空、風薫る季節となった。在職中、この季節のお決まりごとに新緑の京都探索があった。賀茂川に沿って上賀茂神社、大田神社まで自転車をこぎ爽やかな風を楽しんだ。いろんなお寺を訪れ、青紅葉を眺めては心を休めた。桜や紅葉の京都とはまた異なる風情を感じたものである。
 今年3月末で京大を定年退職となり、受け取るメール数が著しく減りうれしい反面、京都の四季を大学に居ながらにして堪能するという「贅沢な楽しみ」が減ったことには、少し未練が残る。在職中は多忙な生活が続いたが、そのような中に静かな時間を見つけて、自分の好きなことを考え無駄に見えることに時間を割くようにしてきた。座右の銘「すろうばっとすてでぃ」の生き方である。このような生活に彩を与えてくれたのが、京都の美しい四季であった。
 現在、立命館大学で非常勤講師を務めつつ、自転車で大阪大学に通いながらまったりと研究を続けている。今年度は、外部委員、セミナー、国際会議、集中講義など、退職前とあまり変わらない慌ただしさであるが、自分の自由になる時間が増えていることを実感している。忙しさを楽しむ余裕がでてきた今日この頃である。